ジェネリック医薬品の誤解

■ジェネリック医薬品の現状

処方箋薬局などでは最近は一般的に認知されてきたジェネリック医薬品ですが日本国内の普及率は50%を超えたくらいになります。国家の方針としては高齢化社会に伴い8割以上の普及を目指して施策を行っていますがまだ足りていないのが医療機関の現状となります。現在国内流通している医薬品約17000の60%については医薬品特許がすでに切れています。安価なジェネリック医薬品が製造できる状態であり、各医薬品メーカーの続々とジェネリック医薬品の製造・販売を行っている現状です。

■普及に対する誤解

実際に診察する医師もジェネリック医薬品を推奨しない場合があります。有効主成分は同じであっても薬剤を構成する添加物・コーティング剤などが異なる事によって先発品(特許を持っていた医薬品)と効果に違いがでると考える医師もいます。その為積極的に進めないケースもあり、波及効果として患者の間にもジェネリックに対して効果があるのかどうか、副作用がないのかどうか不信感を抱いている人も多く見受けられます。

■誤解の現状

ジェネリック医薬品は先発品(新薬)と同じ有効主成分で構成されており同一の成分量が含まれているにも関わらず価格が新薬の半分だからといって効き目も半分と考える医師もいるのが現状です。また安いコーティング剤を使用している為溶解度が悪く体内吸収率が低下していると思っている場合もあります。実際は国の審査機関であるPMDA(独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)が厳密な検査を幾度となくおこない基準を通過したジェネリック医薬品のみ市場に流通します。患者側も実際は安価なジェネリック医薬品に切り替えたいというニーズは高まっており誤解のない正確な情報が求められています。

ジェネリックの浸透

■ジェネリックとは

ジェネリック医薬品のようにジェネリックという言葉は最近非常に耳にするようになりました。ジェネリックは「一般的」という意味になりますが医薬品以外に使用されているものがあるのでしょうか、検証してみました。

■ジェネリックワイン

ワインにも安価な製品が非常に流通しており、一部ではジェネリックワインと呼ばれているものがあります。ジェネリックワインとは、複数酒の葡萄酒の種類をブレンドした、品種名をラベルに掲載しないワインを言います。ジェネリックワインには、赤ワイン、白ワイン、ロゼなど種類を記載したものや、ブルゴーニュやシャブリといった産地名が記載されたワインの二種類が見受けられます。ジェネリックワインは安価な日常的に飲むテーブルワインとして普及しており、複数の品種・品目からブレンドしたワインとなります。ジェネリック医薬品意味合いとは異なり、成分特許などの概念はありません。

■ジェネリック家具

家具にもジェネリックと言う概念存在します。意味合いとしては意匠権の切れたデザイン家具を、任意に家具メーカー達が復刻版として生産する家具のことを指します。意匠権とは新規性と創作性があり、かつ美感を起こさせる外観を有する物品の形状・模様・色彩のデザインの創作についての権利を言います。意匠法で規定された産業財産権で、権利期間は登録設定から20年(日本国内の場合)と規定されています。これはジェネリック医薬品に対して医薬成分特許に当たる権利になります。製作者(開発・研究を行った製薬会社)が構想・制作したオリジナル品(先発品)は一定の期間制作の権利・意匠権(特許)を保持します。その後意匠権の期間が切れたデザイン製品(先発品)を他のメーカーが安価で普及性の高い製品(ジェネリック医薬品)を開発・製造して市場に流通することとなります。こうしてみるとジェネリック医薬品と構成上類似しているように見受けられます。

■ジェネリック家電

大手家電メーカーは商品開発のサイクルは短く、一世代前の部品や技術などを安く他の家電メーカーに譲る場合があります。その場合他の技術を譲り受ける家電メーカーをジェネリック家電メーカーとも呼びます。ジェネリック家電メーカーは品質に問題がないことが前提でコスト削減や付加機能・デザインの追加などを含め市場ニーズに応える製品を作るようになります。ジェネリック医薬品も先発品から形状を変えたオリジナルな製品(ゼリー状・液体状などに仕様変更)を開発しています。